「きっとそのコは、きみみたいな人間を、待っていたのかもしれないね…」
「ダイゴさん…、何か、ロマンチックだな」
「あ、あはは…」
一人呟くダイゴさんに対して、冷めてるユウキくん…本当、面白い!そして満足したらしいダイゴさんが、風邪を引かないうちに帰ろうか、なんて言う。
「かなこ、今日はありがとな!また、勝負しようぜ!ダイゴさんも、ありがとうございました!」
「うん、またね!ユウキくん!」
「こちらこそ、ありがとう。きみがチャンピオンのボクに挑戦しに来るのを、待っているから」
ユウキくんと別れて、疲れちゃった私にはお構いなしにラティアスと大空を飛ぼう、なんて提案してくるダイゴさん。温泉で温まってからの夜空の旅はまた…、素敵だったりもする。
「……」
隣で規則的な寝息を立てて眠っている水色がかった銀髪の彼__ダイゴさんの表情は緩やか。何かいい事でもあったかのよう。でも、私は何だか落ち着かない。前にカゲツさんに、欲求不満だなんて言われた時は思わなかったけど、もしかしたらそれは、嘘じゃないのかも。
「ん……」
サラリと髪を撫でても、手を掴まれる事もない。カロスの時は、ちょっと、驚いちゃったな…。
“…でもねかなこちゃん、こういう事するのは、あまり感心しないな”
軽はずみな行動だったのかな?今でもよくわからないけど。旅をし始めて、最初の頃は怖いと思った事もあったけど、みんないい人たちだし、あんまり身の危険を感じた事がないんだよね…呑気すぎるのかな?私。
「寝なきゃ……」
自分にそう言い聞かせて…、気づいたら深い眠りに就いていた。