「お疲れ様、じゃあボクは先に帰るよ」
いつものように仕事を終えると、とある尋ね人がボクの元にやってきた。あれから…色々考えていたけど正直、まだ心の準備なんかできていない。…そう思うのはおかしいかな?
「お待たせ、かなこちゃん」
久しぶりに外で食事をして、約束していたリリーラを渡す。嬉しそうに目を細めている様子は、見ていて微笑ましくなる。
「じゃあ、きみは明日からかなこちゃんのポケモンになるんだね!」
たくさんいる中でも、 素晴らしい能力を持つこのコに決めた。気に入ってくれるといいな、そう思いながら。それにしても…図鑑を完成させるためとはいえ、あれだけポケモンを捕まえるのは大変だっただろうな。
「ポケモンマスターか」
ボクは好きなポケモンしか集める予定はないから、きっときみがこのボックスを見たら、驚くだろうね…。…なんて、人それぞれだからね(まさかミクリに引かれた事があるだなんて誰が言ったんだろう)。
「でもやっぱり、ダイゴさんが親のポケモンばっかりだと、恥ずかしいな」
ん?どうしてだろう、何も恥ずかしがる事なんてないのに。そう返すとわからない?なんて言われる。
「それに…お揃いばっかりだし…別に言わなきゃわからないけど…」
ふふ…久しぶりに不思議な顔を見たな。婚約をしてから、穏やかな時間だけが流れている。けど胸の奥にあった不安は、しばらく消える事はなかったんだ…。