「……はあ」
よりによってお腹が痛い…無事にお互いの両親に挨拶を済ませてから数日が経って。スーツに袖を通す姿、カッコいいなあ…なんて呑気にベッドから眺めてる。すると私の視線に気づいたらしいダイゴさんが近寄ってくる。
「かなこちゃん…どうかしたのかい?」
サラリと髪をすく仕草も素敵…おかしいのかな、私。見つめてたら優しく微笑んでくれたけど、スッと離れていっちゃう。
「ん…?」
「……」
咄嗟に手を掴んだら、驚いてる…具合でも悪い?そう真剣な顔を向けてくれる。
「…ちょっとでいいの。ちょっとだけでいいから…、こうさせて…?」
ギューッと抱きついた。決して大人の香りじゃないと思う…でも、ダイゴさんの腕の中が、一番落ち着くの……。
「今日は少し早く帰るから、待ってて?」
「…うん」
ウトウトして、ゴロゴロして。いつもの私らしくないかも…。しばらくしたら、帰ってきたダイゴさんが、こう促してくる。
「ただいま、かなこちゃん。先にお風呂に入りなよ」
「え……?」
その、ニオイが…そう素直に伝えたら、今更気にする事なんてないよって、やっぱり優しい。
「ふふ…そんな事できみの事を嫌いになったりしないよ?だから、入っておいで」
ハーブティーを淹れておくから…そう言われたけど、わざわざ買ってきてくれたのかな。急に嬉しくなって急いでお風呂に入ると、並んで同じ飲み物を口にする。
「…うん!美味しい!」
「…良かった。かなこちゃんに笑顔が戻ったね!」
私をベッドに誘って、珍しく腕枕なんてしてくれて。誰かとこうして一緒に寝るのって、小さい頃はパパと良くやってたけど、やっぱり落ち着くんだね…。