「…すまなかった、カゲツ。ありがとう」
まさか、帰ってきてすぐに、あんな場面を見せられるとは思ってもみなかった。カゲツから、かなこちゃんが酔っぱらっているから迎えにこい、とだけしか言われていなかったからね…正直、驚いたな。
“まあ、いいって事よ。おかげでいい思いできたからな、オレはそれだけで満足だぜ?ダイゴ”
カゲツはそう言っていた…それもそうだな。ボクもかなこちゃんを後ろに乗せて空を飛んだりしたけれど、女性をおぶうワケだから、胸が当たって当然だよな。まさか口に出して言う事でもないから黙っていたけど…、初めてラティオスに乗った時から何となく、わかってはいたから…。
「うん……」
寝返りをうって、反対側を向いてしまった。カゲツはこうも言ってたな、かなこちゃんに耳元で囁かれたから、お返しにからかってやったんだ、と。そんな事をされたら、あの時のボクのように……。
「フフッ。そんなに、わたしが信用できないかい?ダイゴ」
「…連れて帰る。彼女のボールから、ラティアスを出すから」
そんな会話をした後、バランスを崩したかなこちゃんを支えていると、きっと無意識だったんだろうね…ボクの耳元でこんな事をしてきたんだ。
「ダイゴさん……愛してる…ふふ」
「……っ!!」
囁かれただけでもドキドキしてしまったけど、まさかキスをされるとは思っていなかったから…不覚にも顔を赤くしてしまった。案の定、ミクリにからかわれて…そんな事もあったな。
「おやすみ、かなこ…」
深い眠りに誘う温もり。人の体温がこんなにも心地いいなんて、ボクはかなこちゃん…きみに出会うまで、知らなかったんだ……。