「そうだな…おまえにだって、弱点くらいはあるだろうから、今度特訓させてもらうとするか」
何となく気乗りしてなさそうだったけど…家に帰ると、出張なの?ってママが言う。
「うーん…まあ、そんなところかな。私もよくわかんない」
曖昧な返事でもダイゴさんなら大丈夫よって…どんな自信なのかって思うけど。
「……」
ふと、カロスで感じた…甘くて切ない気持ちを思い出した。あの頃は、近くにいるのに遠くて…、触れたいのに触れられない、そんな感じだったなあ、なんて。
「会いたいよ…ダイゴさん……」
離れているのが、こんなにも苦しいなんて。両想いになって、何度か帰ってこない事もあったけど…、こんなに離れてる事はなかったから、特別、寂しく思ってるだけなのかもしれないけど………。
「うう"……」
寂しさを紛らすために動きまくってたら、もう酔いが回ってきちゃったみたい…気持ち悪くて、何となくミクリさんには連絡しづらくて、ある人を呼んだ。
「何だよこの有り様。ひどい顔だな、かなこ」
「そんな言い方しないでください……」
相変わらずこういう言い方をしてくる人__カゲツさん。でも、そんな事を言いながらも動けない私をおぶってくれて、何だかんだで優しいんだよね。
「オマエ…、見た目より重いのな」
「え…ひどいです…ん……」
さっきから、何回同じ事言われてるんだろう…何かムカついたから、ちょっと悪戯しちゃおうと思って私…、こんな事してみたり……。