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「やっぱり怖いねー!噂どおりって感じだよ!でも良かった、かなこちゃんと一緒だったら、何だか安心する!」

テンション高いなあ…どこかの誰かさんと同じだよね、何か…。とりあえずあの時の人はいないから、ホッとしていたら。

「かなこちゃん……、どうしよう……!」
「え?どうしたの?ルチア………」
「「キャー!!!!」」

め…っ、めっ、目の前に今……っ!!スーッと黒い影が私たちの間をすり抜けていって、思わず二人してしゃがみこんじゃった。そこに、何でここにいるのかわからないパパが、目を丸くして近づいてくる。

「…ん?かなこ?何してるんだ?」
「パ、パパ…!」

必死こいて説明したから、伝わったみたい…。とりあえず外まで一緒に行って、後で話す約束をして煙突山へ。

「すごいすごい!こんな高いところに登ったの、初めてだよー!」

さっきまでの怖がりから一転して、無邪気な笑顔ではしゃいでるルチアちゃん。こういう子を、『オンナノコ』って言うんだよね、きっと。私…、ちゃんと女の子でいられてるのかな……?

「かなこちゃん……?」

…ハッ!今はルチアちゃんとデート中だった…!それから、フエンせんべいを食べたり、ロープウェイに乗り直してデコボコ山道を下ったり、二人で温泉に入ったり。久しぶり…というか初めてに近いくらい、こうして女の子同士で盛り上がったな…!

「かなこちゃん、あのね?今の気持ち、正直に言っちゃうと、二人でこうやって遊びに行けて、すっごくすっごく楽しかったの!ありがとう!つき合ってくれて!」
「…う、ううん?こちらこそ!私、あんまり女の子の友達がいないから…、ルチアちゃんと遊ぶの、すごく新鮮で…。本当楽しかった!」

それからえへへ、って二人で笑い合う。何だろう…、私よりもずっとずっと綺麗で、スタイルのいいイズミさんに、ずっとずっと可愛くて、女の子らしいルチアちゃん。憧れの二人とこうして、ガールズトークして盛り上がるのも、たまには必要なのかもしれない…そんな風に思った。


bkm
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