「やっぱりね、ダイゴさん。私、ホウエンが…一番好きです」
ラティアスに乗ってホウエン1周の、空の旅。こんなゆったりとした時間が流れるの、いつぶりなんだろう。今日は1日何もない日。ダイゴさんが仕事の日は私はフィールドワークに出かけて、休みの日は旅をして。そんなこんなでバタバタした毎日を過ごしていたから…それはそれですごく楽しかったけど、たまには、こんな風に寄り添うのも悪くないね。
「ここ…ホウエンは、自然がたくさんあるな…。改めて思うね、空から眺めると」
そう言いながらこっちを振り返る横顔が素敵。きっとこの先、何度見たって、それは感じるんだと思う。
「…かなこちゃん」
「はい、何でしょう」
「ボクたち…、あれから何か変わったのかな」
あれから…。それがいつからを示しているのかはわからないけど。
「ダイゴさんと出会って、カロスで一緒に旅をして、好きになって。想い合って…、また旅をして。色々思うところはありますけど、私は、ダイゴさんに選んでもらえて…後悔なんてしてないですよ」
そう言うとふふ…と優しい笑みをくれる。ボクもね…とダイゴさんも口を開く。
「かなこちゃんと出会って、すごいトレーナーになって、正直、置いていかれると思った。だけどきみと旅をして、心を通わせるうちにやはり…、ボクにはきみしかいないなって、思ったんだ」
「でも、石集めはやめないですもんね?」
そう聞き返すとそれはね…とニッコリ笑う。
「ふふ、わかってます!例えダイゴさんが趣味に明け暮れてたとしても私は、貴方がどんなに素敵な人だか知っているから…」
「うん…ありがとう、かなこちゃん」
「こちらこそ…」
ラティアスにお礼を言って。ダイゴさんの…ううん?二人の家に帰ると、自然と笑顔になる。
「愛してる…かなこちゃん」
「私も…ダイゴさん」
…そう。初めはこんな風になるだなんて思ってなかった。でも私は…、これから先、どんな事があっても、ダイゴさんの側にいる。イケメンで石マニアで最強のポケモントレーナー。優しくて、不器用で、でもスマートで。そんなダイゴさんが…、大好きです。
〜part Uに続く〜