「スーツだけど、いいんですか?」
そう聞くと上着を脱いで腕まくり…ホンキっぷりが全然違う。石を探すなら洞窟くらいがちょうどいいんだ、なんて言いながら。
「隕石のかけらならたくさんあるんだけどな…」
「大変なんですね、石探しって。化石を掘るのも一苦労だったけど…」
でも、不思議。こないだはそんな事思わなかったけど、汗をかきながらひたすら探し回るのも何か…、楽しい気がしてきた!
「…って!」
「ん?何かあった!?かなこちゃん!」
…ハッ!大きい声出しちゃったから、驚いたダイゴさんが駆け寄ってくる…!話したら、これは完全に喜ばせちゃったな…見たこともない笑顔とテンション!
「…良かった!きみに石探しの楽しさが伝わったんだね!うん…これからは、二人で探すのも悪くないね!」
そんな様子が微笑ましいと思ってる最近の私は、色々と重症だと思う。でも、許しちゃうんだよ…、この笑顔を見ると。
「やった!ありがとう!」
アクア団の特訓を終えて。いつもセクハラしてくるアオギリさんのリーダーっぷりが伺えて、満足しながら歩いていたら、トレーナーさんと勝負する事に。そこで、ダイゴさんからもらったココドラが、ボスゴドラに進化した!嬉しくてぎゅっと大きな身体を抱きしめたら、抱きしめ返してくれた…!
「…何だか妬けるな」
そして、いつの間に迎えに来てたのか、ダイゴさんがそんな事を言う。このコ、♂だからね…って、複雑そう?
「でも、それを言うならダイゴさんだって、ダンバルとか、メタグロスの腕?に抱きついたりとか……」
そう言い返すと、さすがに♀のコにはできないよ、とかよくわからない。人間相手じゃないのに、そんなに嫉妬するところなのかな…?
「え……?」
さあ、寝ようという時に。ダイゴさんは、いきなり私をギューッと抱きしめてきた。それが何か不思議だったから聞いてみたら、こんな答えが…。
「うん!ダンバルの抱き心地も悪くないけど、かなこちゃんのこの、ふわふわした感じも捨てがたい…」
……。ショーケースに飾られた石を眺めながらダイゴさんは言う。いつもよくわからないけど、爽やかな笑顔で、だからボクから離れないで?なんて言われたら…、頷くしかない。
「離れませんよ、もう」
穏やかな毎日。本当に…、ホウエンに平和が戻って、良かったと思う。