「フフフ…そうだね。でも、ボクが悪いから、気にする必要はないよ。…それよりかなこちゃん」
きみは大丈夫…?そう聞くダイゴさんは妖艶で、こんなところなのに、ドキドキしてる。
「私はもう…というかそれって!あの時、意識ハッキリしてたって事ですよね……!?」
………。何で沈黙…?まさかダイゴさん、あんなところで……!?!?
「…そこは、聞かないでもらえるとありがたいな。かなこちゃん…あの時ボクは、いつになくおかしかったんだよね。その、抑えられないというか…」
パッとダイゴさんの方を見ると、いつものようにからかってるワケじゃなく、本当に困ってるみたい。お酒を飲みすぎた時みたいに、自分で自分をコントロールできなくなるって事なのかな…?
「…っ?」
「安心して?滅多にないから、こんな事。というか…初めてじゃないかな。かなこちゃんを怖がらせるような事は、もうしない…約束する」
「はい…」
握られた手をそっと握り返す。それからは沈黙が続いたけど、二人の間には、穏やかな空気が流れてる…そんな気がした。
「…ミツルくんが!?本当!?嬉しい!」
ユウキくんから一報があった。今度のコンテストライブ、ミツルくんも見に来てくれるらしい。今度は違うコを出場させてみようかな…とか考えながら、普段は絶対行かない送り火山に向かった。
「…ユウキくん!」
こんなところで会うなんて…!私よりきっと、ユウキくんの方がホウエンの、色んなところを回ってるから、もう図鑑は完成間近なのかな。
「図鑑完成って難しいよな…。オレも色んなところに行ってるけど、なかなか珍しいポケモンに出会わないんだよな」
いくらあの一件で新種のポケモンが増えたっていっても、早々出てくるもんじゃないもんね。二人で手分けしてこの辺りの草むらを探してみる事に。
「かなこ!ちょっと来てみろよ!」
遠くからユウキくんが小声で呼んでくる。珍しいポケモンがいたみたい…リグレーって言うんだって!二人してそーっと忍び歩きで近寄って、捕獲はユウキくんにお願いした。
「良かったのか?オレが捕まえちゃって」
「うん、だって見つけたのはユウキくんでしょ?」
その後も他愛もない話をしながら、ダイゴさんに迎えに来てもらって。きみと来るならここだと思って…と連れられたのが。
「石の洞窟……」
「うん、シロガネ山では結局何もできなかったからね…どうだい?」
前にも見たセット片手に、嬉しそうな笑顔を見せるダイゴさん。そんな顔で…本当ずるいなあ。