68
「フフフ…そうだね。でも、ボクが悪いから、気にする必要はないよ。…それよりかなこちゃん」

きみは大丈夫…?そう聞くダイゴさんは妖艶で、こんなところなのに、ドキドキしてる。

「私はもう…というかそれって!あの時、意識ハッキリしてたって事ですよね……!?」

………。何で沈黙…?まさかダイゴさん、あんなところで……!?!?

「…そこは、聞かないでもらえるとありがたいな。かなこちゃん…あの時ボクは、いつになくおかしかったんだよね。その、抑えられないというか…」

パッとダイゴさんの方を見ると、いつものようにからかってるワケじゃなく、本当に困ってるみたい。お酒を飲みすぎた時みたいに、自分で自分をコントロールできなくなるって事なのかな…?

「…っ?」
「安心して?滅多にないから、こんな事。というか…初めてじゃないかな。かなこちゃんを怖がらせるような事は、もうしない…約束する」
「はい…」

握られた手をそっと握り返す。それからは沈黙が続いたけど、二人の間には、穏やかな空気が流れてる…そんな気がした。


「…ミツルくんが!?本当!?嬉しい!」

ユウキくんから一報があった。今度のコンテストライブ、ミツルくんも見に来てくれるらしい。今度は違うコを出場させてみようかな…とか考えながら、普段は絶対行かない送り火山に向かった。

「…ユウキくん!」

こんなところで会うなんて…!私よりきっと、ユウキくんの方がホウエンの、色んなところを回ってるから、もう図鑑は完成間近なのかな。

「図鑑完成って難しいよな…。オレも色んなところに行ってるけど、なかなか珍しいポケモンに出会わないんだよな」

いくらあの一件で新種のポケモンが増えたっていっても、早々出てくるもんじゃないもんね。二人で手分けしてこの辺りの草むらを探してみる事に。

「かなこ!ちょっと来てみろよ!」

遠くからユウキくんが小声で呼んでくる。珍しいポケモンがいたみたい…リグレーって言うんだって!二人してそーっと忍び歩きで近寄って、捕獲はユウキくんにお願いした。

「良かったのか?オレが捕まえちゃって」
「うん、だって見つけたのはユウキくんでしょ?」

その後も他愛もない話をしながら、ダイゴさんに迎えに来てもらって。きみと来るならここだと思って…と連れられたのが。

「石の洞窟……」
「うん、シロガネ山では結局何もできなかったからね…どうだい?」

前にも見たセット片手に、嬉しそうな笑顔を見せるダイゴさん。そんな顔で…本当ずるいなあ。


bkm
prev next
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -