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実は、ボクは昨日の夜から、熱があったんだ。でもかなこちゃんが、ボクの趣味を理解したいと楽しみにしているから…何も言えずに出発した。シロガネ山は標高が高いから、重装備で向かったのに、やはり寒い。しばらく身体を動かした方がいいと思ってボクは、ロッククライムを使わずに崖を登ってみた。

「…ふう」

そう息を吐くと、ポケモンに頼らないからですよ!とかなこちゃんに注意される。ふふ…こういうのも悪くない。将来ボクは、尻に敷かれるのかな?とか思ってみたりした。自然と笑みが零れる。

「まずいな…吹雪いてきたね」
「はい…。中に、戻りましょうか」

そう言葉を交わした途端に、ゴオ…という怪しい音と共に落ちてくる雪のかたまり。後々聞いた話だと…、どうやらポケモンのゆきなだれだったらしい。かなこちゃんをかばって抱きかかえたけど、かたまりが背中に当たって少し痛い。おまけに…、頭が痛くなってきた。まずい、このまま……。意識を失っていたわずかの間、ボクは、悪夢を見ていたんだ……。

「…っ」

かすかに取り戻した意識。何かに引きずられている……?うっすら目を開けると、かなこちゃんがボクを安全なところまで運んでくれているようだ。そこでボクに…、魔が差してしまったんだ。今思い返しても理由はよくわからない。けどたぶん…、夢が夢だっただけに、めちゃくちゃにしてやりたくなってしまったのかもしれない……。


「ダイゴさん…」
「ん…」

目覚めた……?思わずぎゅっと手を握ると、優しく微笑んでくれるダイゴさん。良かった…。安堵の溜息を漏らすと、ごめんね…と弱々しく謝ってくる。

「ううん…こちらこそごめんなさい。本当は、休ませてあげなきゃいけなかったのに…」

お互いに謝ると、再び笑顔に。その日はそのままポケモンセンターにお世話になった。

「あの…レッドさんに、伝えておいてください」

私たちをポケモンセンターまで案内してくれた、レッドさん。普段はシロガネ山で修行しながら、年に何度かはカントー地方をパトロールしているみたい。口数は少なかったけど、優しい男の子だった。すっかり元気になったダイゴさんとエアームドに乗ってアサギシティまで行くと、船に乗って今。

「でも…、恥ずかしいです、私」
「ん?」

よくわかっていないダイゴさんに、真っ赤になりながら説明する。

「その…キス、しちゃったから、風邪…。移っちゃったのかな?って…」

そう言うと満面の笑みが返ってくる。


bkm
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