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「よーし!」

今日ははりきって、料理でも作ろうかな!昨日の夜、明日からカントーに行くからと言われて。早めにフィールドワークを切り上げて帰る途中に、思いついた。

「…あれ?」

鍵が空いてる…もう帰ってるの!?部屋に入ったら、上着を脱いでベッドに座って、ココドラを抱っこしているダイゴさん…。

「ん?かなこちゃん、どうかしたのかい?」

ココドラを見つめる目はすごく穏やか…何かそれがまた新鮮で、ドキッとしちゃう。

「ふふ、不思議なものを見るような目だね」
「それは……」

でも何か、このツーショットが微笑ましすぎて…!ジッと見つめていたら、ココドラと目が合っちゃった!

「ん?おかしいな…♂だからなのか…?このコ、ボクよりもかなこちゃんの方が好きみたいだ」

ダイゴさんはそう言いながら私の方にココドラを向けてくる。そんな目で見つめられたら……。

「うん、このコはきみにあげよう!」
「え?いいんですか!?」

何かダイゴさんのポケモンばっかりだな、そう思ったけど、新しい仲間が増えるのは嬉しい!そんな気持ちを込めてダイゴさんに寄りかかったら、素敵な笑顔を向けてくれる。そして私たちは再びのカントーへ。


「人生を捧げてその道を極めた人は、やはりひと味違うね」
「はあ…」

私たちは今。ニビシティにある、科学博物館に来ている。ホウエンにもあるけど、主に水についてなのに対してこっちは、石について展示してあるみたい。さっきからダイゴさんは真剣にショーケースを眺めてる。

「夜空に輝く光全てが、ボクの知らない石なのか…」

珍しい石を探して。メガシンカのルーツを追い求めて。それでもなお、ダイゴさんの探究心は尽きる事はないみたい。今知ってる中でも、カントー、ジョウト、シンオウ、イッシュ、カロス…結構な場所に出没しているのは間違いないから。1度行った事があると言っても、こうやって私を連れてきてくれては、はしゃいでいるから、それだけで満足しちゃう。

「…って!ダイゴさん!?」

気づいたら隣からいなくなってる…!慌てて館内を捜していると、何やら研究員さんと話し込んでいる様子。

「人生を捧げてその道を極めた人は、やはりひと味違うね」
「はあ…」

一通り話を聞き終わったみたい、こっちに歩いてくるダイゴさん。そう呟いたけど、言い訳なのか何なのか、こんな事を言ってる。

「しかし、情熱だけならボクも負けていないけどね」
「そう…ですね…」

知識的な事を言えば、もちろんダイゴさんは趣味で石集めしてるんだから、そんなに詳しくはないんだろうけど。でもそのためならどこにでも行く情熱だけは、本当にすごいと思った。…共感はできないけど。

「…さあ、行こうかかなこちゃん!」
「…はい」

何となく曖昧に返事するとどうしたんだい?とダイゴさん。まあ…許そうかな。そのままの足で近くに落ちたという隕石を見てみる。


bkm
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