「〜〜ッ、めんどくせっ!」
「また、めんどくせ。不甲斐ないだらし無い。」
「しょうがねぇだろ?兄上相手とか!お前も嫌じゃないのかよ。」
「……それは、確かに嫌だけど…。めんどくせ、は良くない。」

兵舎の厨。
司馬昭殿と元姫ちゃんの声が、そんな不釣り合いな所から聞こえたからのぞき見してみれば、なにやらいつもの如く司馬昭殿が叱られていた。
『兄上』という単語が聞こえた以上、司馬師殿が絡んでいるらしい。
しかも、いつもは叱る一方の元姫ちゃんがめんどくささは認めている事柄……
『あー……肉まん絡みか……』

想像するに、何かやらかした司馬昭殿が司馬師殿に肉まんを作って詫びなければならない状況に陥ったらしい。

「私は、手伝わない。自業自得よ、子上殿。」
「頼むよ元姫〜っ!将来の嫁修行だと思って!な?」
「……邪魔なのよね。」

EX技の台詞のあと、元姫ちゃんは清々しく厨から出て来て
「梨、アレに手を出しちゃ、駄目。」
と言い残した。
勿論。手伝うつもりは皆無ですよ!
っていうか、私が手伝ったら多分邪魔にしかならないと思います!

にへーと笑って元姫ちゃんの背中を見送ったら、突然襟首を引っつかまれて厨に引き込まれた。言わずもがな、犯人は、

「梨〜〜っ、手伝ってくれよぉ……」
「無理ですって。元姫ちゃんに言われてますし、何より普段よりも不器用な状態で出来るはずないじゃないですか。」
「ここは弱きを助けるのがイイ男ってもんだろ?!」
「生憎もとは女の子なんで。」

司馬昭殿はまだ渋りながら、掴んだ私の服を離してくれそうにない。
……諦めて手伝ってしまった方が楽な気がしてきた…

「あーあーあー!分かりました手伝います!」
「よっ!さっすが梨!色男!!」
「ただしどうなっても知りませんからね!!」
ぶきっちょ

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