1.隣の知念くん!

みんな小学生
みんな同じ学校
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ガタガタ、ザワザワ

机と椅子がぶつかる音と普段より高めのテンションで騒ぐ生徒達でうるさくなった教室。くじで決まった席に移動すると隣には既に移動し終わったのか静かに人の流れを見ている奴がいた。


(コイツがとなりかよ……)


そう思った時、苦い顔をしていたに違いない。知念とは特別仲が良いわけでもなく、寧ろクラスが同じにも関わらずほとんど話したことがない。目も合ったことがあるかどうか疑問なレベルだ。
席が隣になると話さなくてはならないときが絶対に出てくるのだが…

(ちねんってあんましゃべんねーし、しゃべってもなにいってんのかわかんねぇんだよな…)

それが知念や知念がいつもつるんでる木手達のグループが他と比べて孤立している理由なのだが、すこし前まで外国にいた跡部にもまだ小学生のクラスメイト達にとっても沖縄弁は理解できず、コミュニケーションが取れないのも仕方のないことだった。

…このまま立ち止まっていても他の人の迷惑となってしまうので、とりあえず机と椅子を知念の横へと移動させる。すると同じタイミングでガタガタと目立つ金髪が目の前にやってきた。

「やりっ!あとべのまえだC〜」
「ジロー…」

バカみたいに明るく話しかけてきたジローは1年の時同じクラスになってからずっと仲が良い。普段はいつもコイツとあともう一人、宍戸と一緒に行動することが多い。
仲の良い奴と席が近いということに少しホッとし、ジローと共に教室の喧騒に紛れた。





++++++++++





運良くなった窓際の席。多少聞かなくても理解できる授業に退屈を感じ、顔を黒板から窓の向こう側へと移す。
梅雨は終わり、太陽と夏独特の青い空が広がっている。そのまま特に意味もなく眺めていると陽気に当てられだんだんと眠くなっていく。
寝てしまおうか…。
実際、前に座っているジローは随分前から夢の中だし(と言うか起きてる時の方が少ない)、他にも寝ている奴や小声で隣と話をしている奴なんて何人もいる。授業なんて真面目に聞いてる奴の方が少ないんだ。

空を見たまま小さく欠伸をするとコロンと何かが落ちた音がした。その音に反応して空とは反対の方を見ると丁度知念と目が合い、そこで何となく察して自分の足元を見ると予想通り、そこには丸い消しゴムが落ちていた。

ガタッと椅子の引く音がしたが、少しざわついた教室で掻き消される。ほらよ。そんな感じで差し出すと知念はそれを無言で受け取り、少し下を向いたかと思うとすぐに前の黒板の方へ目をやった。


(おれーもなしかよ…)


と言っても、特に気にする訳でもなくまた空を見る。

カサッ…

突然机に転がりこんできたクシャクシャに丸められた紙。空を見ていたといってもそれが隣から飛んできたということは分かった。

横を見るとまた知念と目が合う。
丸まった紙を広げるとありがとうと一言、それだけが書かれていた。








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跡部景吾さんの今日の王子様はいつも通りな知念寛。席替えで隣同士になり、授業中にこっそり筆談をするようになります。




筆談(一回)
いつも通りでもない
でも、筆談はこれからしていくようになるんだと思います(適当)

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