放課後になんとなく、という理由でラビに連れられファミレスに来ていた私は嫌がらせの意も込めてメニューを片っ端からオーダーしていた。

「よく食べるなぁ、アレンかよ」
「なまえだよ、てかなんで私誘ったの?」
「よく聞いてくれたさ! 実は昨日浮気がバレて……」
「いい、聞きたくない」

 長々と語りだしそうなラビに即答し、オレンジジュースを飲めばラビは徐にスマホを取り出した。誰かに連絡するらしい。

「ま、そんな可愛くなかったしいいけど。俺喘ぎ声汚い女マジ無理、あと贅肉ヤバイ女も抱きたくないさ」
「ファミレスでする話じゃねぇ……」

 口元を引き攣らせながらも、内心こんなに毒づくラビを見たことに驚いていた。いつもヘラヘラしているから闇深そうとか思ってたけど、ここまでブラックだとは。もうこれはグレーゾーン飛び越えてブラックホール並だ。いつもよりワントーン低い声にゾワッとすると、それに気付いたのかラビはいつもの明るく陽気な声に戻った。

「なまえならいつでも歓迎さ〜!」
「絶対ヤダ」

 いつものラビに戻ったのでホッとして、一蹴するとひどいさ!と嘆いていた。途端にラビのスマホが鳴り、ラビが勢い良く立ち上がった。

「ごめん、急用入ったから俺行くな」
「りょ、じゃね」
「おう! また明日さ!」

 そう言ってラビを見送った後、私も慌てて立ち上がった。このオーダーの数々の金額は考えたくない。やられた、と頭を抱えて無けなしの財布を片手にレジへ進むと意外な返事が返ってきた。
「さっきの赤毛のお客様がお会計を済まされましたよ?」

 ひとり帰り道を歩きながら、ファミレスの店員の言葉を思い出していた。こういう所がモテるんだろうな、とかなんで私も女の子扱いなんだ、とか色んな考えが思考を巡る。ラビはやっぱり、何を考えているのかわからない。 (2017.09.01)

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