次の日の放課後、面談期間で授業は午前授業。
鯉登くんと面談後に会う約束をして、私は1人、教室の前で兄貴を待っていた。
面談の時間まであと5分。
前の人が教室で面談しているのを見ながら、いつ終わるのかヒヤヒヤしていた。
(おっそいなあ…もう……)
携帯からメッセージを知らせる着信が鳴る。
すかさず確認すると、兄貴からだった。
[今学校。教室は?]
(おっそい!)
[入ってすぐの校舎3階、右側の廊下]
メッセージを打っている間に、教室の引き戸が開き、前の人が帰って行った。
次は私の番だ。
教室まで見送りしていた担任が私を見る。
「飛鳥、両親は?」
「今下にいるらしいんで、もうちょっとで来ます。あと、ウチは両親じゃなくて………」
「どうも、遅れました」
「あ、来た」
てっきり私服で来ると思ったのに、なぜかスーツを着ている。
このせいで遅れたんだろうか。
「来ました。これがウチの……」
兄貴です。
そう言おうとした瞬間……
「ああ、よくいらっしゃいました。どうぞ教室へお入りください」
担任に言葉を遮られ、内心で小さく舌打ちをする。
兄貴の関係を言ういいタイミングだったのに。
百にいは私の父親に間違われるのを嫌う。
めちゃくちゃに嫌がる。
間違われた日には、かなり機嫌が悪くなりめんどくさくなる。
兄貴的には「そんな歳じゃない」って事にこだわっているみたいだ。
まあ、実際その通り、大きな子供がいるような歳にも見えないし、そんな歳でもないし、間違われるのはほとんどないから大丈夫だろうけど……。
「それで……飛鳥さんのお父様でよろしかったでしょうか?」
(バカ教師………!)