君は僕の大切な人(鉢屋)
「三郎?」
「…」
「さーぶろー」
「…」
ああそうかい、そういう態度をとると決めたわけね?ただ黙って私を睨み付けながら無視するって決めたわけね?
「…一体何なのよ。いきなり部屋に連れ込んでさー?私これから八左ヱ門と毒虫の世話する約束してるんですけど?」
「何だお前、八が好きなわけ?」
「…は?」
やっと口を開いたかと思えば…呆れた!どうして委員会の手伝いをするだけで好きということになるのか、三郎の頭の中を覗いてやりたいものだ。
「さっきまで兵助と楽しそうにしてたくせにな」
「はぁ?あれは喧嘩してたの、どこをどうすれば楽しそうに見えたわけ?」
この部屋へ連れて来られる前まで食堂にいた私は、兵助と豆腐のことで言い合っていた。(だって豆腐なんて美味しくないんだもん!)
まぁとにかく、誰が見ても楽しそうにしているとは思えなかったと思う。
「お前まさか雷蔵まで狙ってるんじゃないだろうな?」
「だから!皆のことそーゆーふうに見てないよ、私!」
さっきから何を言いたいのか知らないけど、人を男好きみたいに言わないで欲しい。
「どうだか」
「百歩譲って五年生に好きな人がいたとしても…何で三郎に口出しされなきゃいけないのよ」
「皆大切な私の友人だからな、」
大切な友人に、手を出されたくないってこと?
「何それ、私は三郎の友人じゃないの?」
何を考えてるか分からない顔で淡々と答える三郎にだんだん腹が立ってきた。
「当たり前だろ」
「 っ…!意味分かんない!もう良いよ阿呆三郎!私八左ヱ門の手伝いに行くからっ」
そんなにはっきり否定される程嫌われてたの?
泣きそうになった私は捲くし立てながら立ち上がろうとしたけど、出来なかった。
「…名前を友人なんて思ってないんだよ」
「!」
耳元で低い声。勢いよく腕を引かれた私は、後ろから三郎に抱き締められる格好になっていたのだ。
「なっ、ななな、な!?」
「分かれよ、阿呆名前」
「なっ…」
君は僕の大切な人
なんて分かりづらい奴…!
後で八左ヱ門にあやまろうと、なかなか離してくれない三郎の腕の中で考えていたら不意に好きだバーカと耳打ちされた。私の方が好きだバーカ!
081204
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心咲ちゃんありがとうございます!!!
もう、心咲ちゃんの書く意地っ張りな鉢屋にメロメロなんですがどうすれば…^p^さすがキュンマスター!
本当にありがとうございました!
君は僕の大切な人