僕らの歩く道の先





外の空気を吸ってから戻ってきた黒子と凉子の元に、バスケ部一同が駆け寄ってきた。


「黒子と火神のペアも凄いが、黒子と入船のペアも凄いんだな。息がピッタリというか、自分たちの先の行動がわかってるというか。」


伊月のその言葉に頷く水戸部。

他のメンバーも同じことを思っていたのか、黒子と凉子の回答を待っていた。


「…あぁ、一応小さい頃から一緒にバスケしてたし、帝光中の時も放課後ストバスとかでアイツ等とゲームはしてきたから、テツの行動は不思議と読めるんですよ。」

「そうですね、凉子さんはわかりやすいですし。」

「わかりやすいってなんだよ!」

と、各々の答えが帰ってきた。

凉子の“テツの行動は不思議と読める”という言葉に一同は驚きながらも、納得した。


「アイツ等ってのは?」


ふと疑問に思った火神が凉子にそう訪ねた。


「あぁ、キセキの世代のことだよ」

「「「!?」」」


キセキの世代は伝説とも言えるぐらいに強いメンバーが揃っている。

それはここにいる誰しもが知っていることだった。

そんな奴らと、今目の前にいる凉子が一緒にバスケをしていたということに驚きをかくせない一同は息を飲んだ。

そんなメンバーをみて凉子は笑った。


「一緒にバスケをしたって言ったって、アイツ等に叶うわけなかったですけどね?アイツ等みたいな能力も、才能も、私にはないですから」


顔は笑っているが、その声はどこか悲しそうに語った凉子。

だが、それは謙遜しすぎだとリコは思っていた。


(さっきのあれで能力がない?それは違うわ。この子には十分な才能が眠ってる。服の上だからはっきりわからないけど、この子の柔軟性と瞬発力は素晴らしいものだわ。)


先程のミニゲームのときに見た凉子の驚くべき柔軟性と瞬発力。


敵のガードから柔軟性を活かしてうまくかわすその姿。

ボールの動きが変わった瞬間の瞬発力。


それはどう考えてもバスケで有利な能力だった。


「って言っても、一緒にバスケしていたのはキセキの世代なんて大それた呼び方される前まででしたけどね。アイツ等どんどん才能を開花させやがって、追いつけなくなっちゃって。男女の差ってやつですかね」


離れていく彼らを頑張って追いかけた。

それでも毎日のように開花していく彼らの才能に追いつけなかった。



「まぁ今となっちゃいい思い出ですよ。今は敵ですしね。誠凛がアイツ等に勝つって信じてますし。」


そう言ってヘラリと笑った彼女。

そんな彼女を見たあと、黒子は顔を背けた。












「テツー、アイス食いたい」


放課後、家が近い黒子と凉子が一緒に帰っていると、凉子が突然そう告げた。


「じゃあマジバに寄りましょうか。あそこならアイスもありますし。」

「テツの好きなシェイクもあるしな!よし、行こーぜ!」


そう言って凉子は黒子の手を引っ張って走りだそうとした。


だがさすが男の子というのか、黒子はそんな彼女の手を逆に引っ張り走るのを止めた。

勢いあまってバランスを崩す凉子を静かに受け止めながら、黒子は呆れた顔をした。


「…凉子さん?」

「だ、大丈夫だって!テツは心配しすぎなんだ!」


放課後のミニゲームの時、彼女は倒れそうになったことを心配しての行動だとわかった凉子は笑いながら黒子に話しかけるも、彼は走らせようとはしなかった。

そんな彼をみて、凉子は苦笑いを浮かべた。


「…ごめん、最近はホントに大丈夫なんだって。“あの時”に比べるとだいぶ安定したんだよ?」

「…わかってます。すみません。」

「わかればよろしい!ほら、行くぞ!」


そう言って再び黒子の手を掴むと、今度は歩きだした。

黒子は自分の心配をしっかり受け取ってくれたのだと安心しながら彼女に続いた。







僕らの歩く道の先




(でもなんかムカつくから、今日はテツが奢れよ?)
(え゛)




………………


いつ彼女のことを書こうか迷うな…。








(20120723)





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