無茶はいけません




火神、福田、河原vs黒子、降旗、凉子のミニゲーム。



ジャンプボール対決は火神対降旗で、火神が勝った。

福田に渡るパス。

福田はすぐにドリブルしながら自陣のゴールに向かっていった。


だが、彼の手からすぐにボールは奪われた。

黒子がジャンプボールは火神に取られると予測して先回りをしていたのだ。


奪われたボールは近くにいた降旗へと回された。


降旗は走ろうとしたが、そこですぐ近くまで火神が迫っていることに気づいた。

火神を追い越すのは至難の業だと判断した降旗は、ボールを黒子に返した。


「…っ、凉子さん!」


黒子は無意識にパスを回すことを拒んでいたのか、凉子へのパスがここでようやく来た。


「はいよっ!」


女だと油断していたのか、凉子に対するガードは甘かった。

自陣のゴールの3P位置にいた凉子は、

「油断してんじゃ、ねーよ!」

という言葉と共にジャンプし、3Pを決めた。



それを見た一同は驚いた。

3Pは普通、少しかじった程度ではそう簡単に入るものではない。

凉子が強い選手だと認識した火神達は、警戒を強めた。


「…いいじゃねーか、それでこそバスケじゃね?」


だが、先程から凉子の様子がおかしい。


「かかってこいよ、私に勝てると思うなよ?」


先程から口調といい挑発といい、いつもの彼女らしくないのだ。

それは皆が疑問に思っていることらしく、凉子を凝視していた。


「ほら、次いくぞ次!」


凉子のその言葉にハッとした福田がボールを取りに行ってすぐパスをだした。


それからも黒子と凉子の絶妙なコンビネーションがあってか、19対21で黒子チームの勝利となった。








「…えっと、凉子ちゃん?」


盛大に息切れをおこしながらベンチに戻ってきた凉子にリコが疑問を投げかける。


「えっと、なんか雰囲気おかしくなかった?」

「うっ…」


その疑問を聞いた瞬間、凉子の顔が引きつった。


「…やっぱり治ってないじゃないですか。」

「う、うるせーよ…」


黒子がため息をつきながら凉子にそう言った。

そしてそのまま語りだした。


「…なんというか、凉子さんはバスケをしだすと性格が激変するんです。いわゆる二重人格といいますか…。スイッチが入るとこのようなキャラに。」

日向先輩と似たようなものです。


そう付け加えからもうひとつため息をついた黒子。

唖然とする一同。

いまだ息切れをおこしながら苦笑いをする凉子。



「す、すみません。ちょっと外の空気、吸ってきます。」


そう言ってフラつきながら凉子は外に出ようとした。

それを見て「僕も行ってきます」と言ってついて行く黒子。



その背中を見てリコは呟いた。




「…クラッチタイム日向くんが増えたわね。」





















「…っはぁ、はぁ…っ!」


体育館の外にでた瞬間、バランスをくずして倒れそうになった凉子を黒子が支えた。

凉子は少し目を見開いたあと、自虐的なため息をついた。


「…ごめん」

「…やっぱり治ってなかったじゃないですか」


黒子は先程も言ったその言葉をもう一度呟いた。

その言葉には二通りの意味があったことに気づいていた凉子は小さく苦笑いをするともう一度謝った。


「大丈夫ですか?」

「うん、…まぁ少しは落ち着いた。」


そう言う彼女の顔はまだ青かった。


「…バスケ部に入るのは構いません。ですが、もっと自分のことを考えてからバスケをしてください。またあの時のようになるつもりですか?」


「………」


「…でもまぁ、久しぶりに凉子さんとチームを組んでバスケができたのは嬉しかったです。」


「…うん」


そこでようやく小さく微笑んだ二人。


「よぉし!テツ、今日の帰りにストバス寄ろうよ!」

「…凉子さん、僕の話聞いてました?」


体育館の中に戻りながらそう話す二人。


凉子の秘密を誠凛メンバーが知るのは、もう少し先の話。







無茶はいけません




(次に無茶なことしたら、皆さんにバラしますからね)
(うっわ、脅し!?)




…………………

まぁ主人公には色々あるのがつきものです(笑)





(20120723)



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