声にはださないけど感謝してるんだよ
「で、話って?」
涼太にお昼休みは屋上でと言われ、私は約束通り迎えに来た彼に流されるままついて行き、屋上まで来ていた。
彼は屋上に来た途端いつもの明るい笑顔を消し、心底私を心配するかのように眉を下げながら声を発した。
「・・・階段から落ちたとき、犯人見たんスよね?」
「え?」
これは流石に驚いた。
私は犯人を知ってるなんて誰にも、家族にすら話していなかった。
目を見開きながら唖然とする私をみて肯定と取った彼は、日陰になっている壁側に背を預けて座った。
そしてその隣をトントンと手で叩き、それが座っての合図であると判断した私も壁に背を預けて座った。
「・・・どうしてわかったの?」
2人とも空を見上げている為視線が合わない。
だが、それがなぜだか話しやすい雰囲気を作っていた。
「なぜって言われても、感としか言えないっスけど」
「なにそれ」
クスクスと笑うと、彼は少し納得いかなさそうな声を出したあと一息ついて私の肩に頭を乗せて寄っかかった。
「重いんだけど」
「相変わらず低いっスね〜。首つりそう」
「喧嘩売ってんのかコラ」
私はすぐ近くにある彼のおでこにデコピンを喰らわす。
私の持つ最大のパワーで撃ち放った中指が綺麗に彼のおでこにヒットしたらしく、彼はガバッと起き上がっておでこを摩りながら涙目になっていた。
「痛いっスよ、澪っち〜!!」
「私は平均身長だ。アンタがでかすぎるんだよ巨人が」
私が涼太を睨み付けながら言うと、彼は一瞬目を見開いた後笑いだした。
その突然な異常反応に私は変な顔になったらしく、涼太は“顔…!!”と言いって私の頬をつねりながらまだ笑っていた。
流石にイラッときた私は、涼太の手を払い除けてからまだ広げていなかった弁当を開けて黙々と食べることにした。
そこで漸く止まった彼の笑い声。
彼の顔を横目でみると、涙目になっている彼がいた。
一瞬笑いすぎて出た涙かと思ったが、鼻を啜る音にその考えは消えた。
泣きかけている彼にギョッとしながら、私は慌ててポケットからハンカチを取り出して彼に渡した。
「なに泣いてるの」
「いや…澪っちが戻ってきたなって。ずっと元気なかったからよかった」
“澪っちがオレに優しいとかあり得ないっスから!”と一言余計につけた彼の脇腹に、私はチョップをかました。
痛がる彼をよそに私は声を出した。
「私は常に優しいわ、バーカ」
「それっスよ。澪っちは口も悪くなきゃ」
「…なんなの、アンタの中の私って」
正直驚いた。
最近確かに元気はでなかったけどそこまで見られていただなんて。
今回のことは彼なりの励まし方なんだとそこで漸く気付き、苦笑いがでた。
励まし方下手すぎるだろ。
でもそれで励まされた私はなんだか悔しくて。
「お弁当食べないならもーらい!」
「ああっ!!」
彼の膝にあったお弁当を奪い、自分のお弁当を取られないように守りながら食べる。
隣で喚く彼のお腹の音と同時に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
それから部活の時間まで忙しく、涼太はお弁当を食べられないまま部活に参加し笠松先輩に怒られることになったのは、また別の話である。
(ありがとう、涼太)
(絶対に言ってやらないけどね)
…………………………………
約1ヶ月ぶりの更新…orz
最近忙しくて…お待たせしてすみません(泣)
黒バス、アニメ終わっちゃったけど原作が熱すぎてテンション最高潮です!!
(20121001)
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