カーテンの隙間から零れる光が、俺を眠りから目覚めさせた。なんとなく手を伸ばして携帯を取り、時間を確かめると、今日の講義に出席するための支度や通学の時間を入れても、まだまだ寝れそうな時間だった。二度寝しようかと思うも、なんだか目が冴えてしまった。ゆっくりと体を動かし、枕に頭を預け俯せになる。

 ふと右隣を見ると、眠る彼女のつむじが見えた。(彼女は寝るときに丸くなるから。)高校から染めた蜂蜜色の髪は、いつもきっちりセットされているが、今はくしゃくしゃで、ほんのり昨夜の余韻を残していた。あいにく、事が終わると適当ではあるが、服を着て寝る決まりがあるので、昨夜も当然着て寝たのだ。つまりは裸を見て…みたいなことはない。…それなりに別の誘惑があるが。

 彼女がぎゅっと握っている小さな右手の拳を俺が包むと、少し唸りながら彼女は仰向けになった。その額にキスをひとつ落とすと、ちょっと身をよじる。ふ、と自然に笑みが零れた。どんな些細なことでも、愛おしくてたまらなくなるのだ。

 不器用なひと、と俺を笑う彼女も、俺から見たら相当不器用で。だからこそ俺達は支え合うのだ。ふたりでひとつ、それでいい。そうやって、ふたりで生きていきたい。

 俺は、何一つ後悔はしていない。幼少の頃にした約束も、いまこうしていることも、好きになったことも、この先も共にいると約束したことも、全部。


 ずっとずっと、大切にするから。だからどうか、早く起きて、左手に嵌めたおもちゃの指輪ではなく、右手のプラチナを見てほしい。彼女は泣くだろうか、笑うだろうか。―――刹那、目の前の睫毛が揺れる。

けれどまずは、おはようと言って柄でもないキスでもねだってみるのもいいかもしれない。




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