翌日26日、つまり今日。
 私はやる気に満ちていたため、足取りはもうロナウ○ーニョがリフティングするように軽かった。部長があんな慈悲深いひととは思いも寄らず…!すいませんでした!今日から心を入れ替えます!


「常勝!………イエッサー!」


 なんて誰もいないコートで叫びながら整備を進めていく。今日は9時からで、コートの面積上レギュラー以外は8時30分からなのだけど、ただいま7時30分くらい。早過ぎた。(笑)って感じですね。まあいつもよりゆっくりできるしいいんですけど。


 じゃぶじゃぶと豪快にドリンクを作る。粉をジャグに入れ、14リットルのそれをハンマー投げかのようにぐるんぐるん回しながら。これ回りから見たら変だろうな…!一人でよかった!2つめのジャグを同じよう回す。


「ぬぅぅすんだばーいくではぁしりだすぅ〜」「ブフッ」

「…あれ?」


なんか…ひとの声が…
「オッス」


ぎゃああああああ切原部長ォォォ



「おおおおはようございます違うんですこれは違うんです気の迷いです違うんです」
「あっはっはっ!気ィ迷いすぎだろ〜!」




優しいぃぃぃぃ!!!!!


 気持ち悪いって言われるかと思った!うわあああん優しいよぉぉ!もう全てが以前より輝いて見える。なんだこれ。フィルター?フィルターかかってんの?ああもうとにかく切原部長最高っす!なんて思って見すぎたからか、切原部長はほんのり頬を赤くして「あんま見るなよ」とはにかんだ。

「はい!了解です!」
「え?あ、嘘、…見てくれて、いいんだけど、」
「…は、はあ」
「…ん」
「…」
「…」
「あ!」「うん?!」
「昨日はありがとうございました!」
「あ、ああ。昨日な。」
「はい!お忙しい中すいませんでした〜おかげさまで今日も元気に生きてます!」
「うん」




 …あれ、やばい気まずい。なにこの空気。切原部長、ちょっとそわそわしてる。トイレ?あっ わたしトイレの邪魔してるのか?!いやでもそしたらもっとなんか…素直に言うけどね、トイレ!って。わたしだけかな、いや違うな。万人共通なはず。


 じゃあなんだ…わたし、今日寝癖ひどいとか?いやいつもだよソレ。チャック…はジャージだし。なになになになに!先輩に無意識に醜態を晒しているらしい状況下で、いま一気に血の気が引いてしまっている。しかし反して先輩は顔が真っ赤だ。


「あ、あのぶちょ」
「好きだ!」

え?



「お、お前っ、が、好きだ!」







 付き合ってください!と部長は頭を下げて、右手を前に突き出した。な、なにこれ夢?ぼうっと夢心地のまま切原部長の手を握ると、あっという間に切原部長に抱きしめられる。夢?夢ですか?ここは立海大附属中学テニスコートという名の夢の国ですか…?なんてぼやっとしていると、きつく部長の腕で抱きしめられ、体に直接鼓動が伝わる。





ゆ、夢じゃない。





 なぜか安心して涙が情けなくぼたぼたと頬を伝い、切原部長のジャージを濡らす。少し背伸びして、耳元で「す、きです…」と言うと、耳にキスを落として「俺も」なんて言ってくれた。よかったあ、と嬉しそうに吐いたため息に、私の心が、ぐわしっ!とわしづかみされた。





切原部長、わたし一生付いていきます!!




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