今日は10月31日である。

と、同時にハロウィンであるのだが…こういうイベントを奴こと仁王雅治は逃すわけはない。なので私は登校中だって気を抜かない。なんで日曜なのに登校してるかって?…そこはまあ………察してください。


廊下を歩いていると、バタバタとうるさい足音が聞こえて、警戒態勢のまま振り向く。しかしそこには仁王ではなく、丸井がいた。おはよう、と言おうとした瞬間、目の前に手が突き出される。…まさか





「トュックアトュルット!」

「…はあ?」







「だからあ、」
「いや言いたいことは分かるよ?10月31日だもん。いやでも………はあ?」
「なんだよぃ、俺の天才的な発音に………酔いな」
「あ、ごめん似てないから」
「それよりホラ、トュックアトュルット」
「いやもうそれ何言ってるかわかんないし」
「はいお菓子」
「もー……はいはい」
「サンキュー!」


持っていた飴袋から一つ取り出し、丸井の手に乗せると、人懐っこい笑顔でお礼を言われた。こういうところがこのひとの憎めないところだ。



「そういうやあさ、俺達結構遅めの登校だと思うんだけど、仁王遅くね?」
「確かにねー…。まあ来るでしょ」
「つめてーのな、カノジョさんは」
「いやだってハロウィンだよ?」
「あ、そっかハロウィンか」
「逃さないでしょう…」
「逃さねえな…」



はあ、とため息を落としながらいつのまにか目の前だった教室に扉に手を掛け、右にスライドさせ…


「トリックオアト」


ばん!!!






「…おい」
「私は何も見ていない私は何も見ていない私は何も」
「おい!何見たか知らねえけど教室入ンぞ!」
「ぎゃあっ」


現実から遠ざかろうとした私を叱咤し、丸井は勢いよく扉を開けた瞬間、そこにいたのは



「トリックオアトリートなり〜」







某ネズミ型ロボットの着ぐるみパジャマを着て、ご丁寧にフードまで被った仁王だった。







…ていうかハロウィンでそのチョイスってなんか違くね?



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