「光さんー」
「んあー」
「離してくださいー」
「無理っすー」
ぎゅう、とお腹に回る手に力が込められて、より光の胸板と私の背中がぴったりとくっつく。恥ずかしい。まあ屋上だからできるんやな。光は私を足の間にいれ、顎を右の肩に置いている。
「授業でたないー」
「不良やなあ、アカンで光クン。」
「やって、お前抱きしめとると離したなくなるんやもん。」
「ひゃ、耳元で話さんといて…っ」
「なん…?聞こえへんから、…もーいっかい、言うて」
「っ、ばか…」
もーなんやねんこの子!さっきからわざと耳元で、あの無駄にいい声っていうか好みの声っていうかあれを理解した上で私をいじめるように話すから、耳に熱が集まる。隠すように左を向くと、光は私の左の頬に右手を沿えて、左手は体を振り向かせた。
促されたのでおとなしく向かい合わせになる。つくづくこの男には弱いなあと思う。
頬に沿えられた手はそのままに、上を向かされて唇が重なる。啄むようなキスを何度か交わすと、ますます私の顔の熱が引かないし、動悸が激しくておかしくなりそう。
ちらりと光を見ると、ひどく優しい顔で笑っていた。
「可愛え、」
と普段の彼なら言わないような発言をしたのでびっくりすると、本人も少し恥ずかしかったのかごまかすようにキスされた。
つい笑みが零れて、キスの合間に「好き」と呟くと私の手を彼の左手に取られ、指が絡められた。
なんて、かわいいひと。