あの夏の日、王者立海大は接戦の末に負けた。いい戦いだったよ、幸村くんかっこよかった、と声を掛けられ、悔しさを心の奥にぎゅうっと詰め込み、残った達成感でもってそれに礼を返した。

いい試合だったとは思う。だけど俺のテニスは、俺は、敗北の烙印を押されたのだ。悔しさと惨めさ以外の何物でもない。俺は、奥歯を噛み締めながら帰路についた。ふと周りを見ると、チームメイトはどこか清々しく、前を向いていた。季節が変わっても、俺の時間だけは止まったままだった。


何度も蘇る越前くんの輝いた笑顔と、それを見つめるチームメイトの新たな闘志を燃やす瞳。…なんだよ、それ。いつかのように、また、俺は一人になるのか。そんなふうにぼうっとしていると、仁王が隣にいた。そうだ、俺は一人だけど、独りじゃない。

仁王と出会ったあの夏に、あの日に、確かな約束を結んだのだから。



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