私は小さいときから入退院を繰り返し、もう何度この病院にお世話になっているかわからない。規則正しい病院の生活にはとっくに飽きてしまった。特に趣味もないので、幼い頃に、母が持ってきてくれた青いカバーの日記に、気持ちを綴ることにしていた。それは今でも続いていて、すでに何冊も溜まっているけど、読み返したことは一度もない。

いま書いている日記は、青ではなく淡い桜色のカバーで、幼なじみの雅治くんが誕生日にくれたもの。「俺のことも書いて」と渡されたものだから、たくさんたくさん、今まで以上に彼とのことを書こうと思った。






11月30日 火曜日

毎日、彼は私に会いにきてくれる。ぐしゃぐしゃの髪に、ほてる頬、冷たい指先。また、自転車を飛ばしてきたらしい。危ないと言っているのになあ。だけど、嬉しい。来てくれて、とても嬉しい。明日も会えるといいな。



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