授業終了を知らせるチャイムが鳴り響いた途端。

俺はラケットバックに入れていたリュックに教科書と筆箱、財布を入れる。クラスメイトは俺のそういう行動を時折見ているためか、何も触れず、それぞれゆったりと帰りの身支度をしていた。そんな中の俺の行動は流れに反している気はするけれど、もともとそういうことには慣れていたし、あまり気にはしなかった。担任が来る前に帰ってしまおうと思い、さっさと教室を後にする。小走りで廊下を駆け、そのまま駐輪場まで行くといつも通り俺の自転車が指定位置に居たので、安心して財布から鍵を取り出し、これもまたさっさと乗り込み、漕ぐ。


あと少し、あと少しで、君のところに。

冷たい風が俺の指先から体全身を冷やしていくから、自然と歯を噛み締めてしまう。段々と思考も落ち着いてきて、流れる風景をぼうっと見ながらも足だけはペダルを漕ぎ続ける。






そういえば。

模擬面接の最中、津川は時折気恥ずかしそうにはにかんだ。それは大抵の女子が自然にやる仕草で、見慣れてはいるが、なんだか可愛らしいとぼんやり思った。

けれど、すぐに葵を思い出す。馬鹿みたいだけど、こうして俺の一日は彼女で占められていくのだ。これを知ったら、葵は笑うのだろうか。


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