ごうごうと灯油ストーブが動いている。筒からでる白い煙りを窓越しになんとなく目に入れていると、なんだか時間を忘れてしまいそうだと思った。

保健室はいい。
少し甘えれば、簡単に休ませてくれる。それに、ストーブに加えて加湿器と空調整備は完璧だ。


常連の俺に一言「はやく教室戻りなさいよ」と優しく笑う保健医に適当に相槌を打ち、ストーブに1番近い窓に背中を預ける。

彼女には俺達と同年代の子供がいるらしく、母親らしい温厚さと優しさがあるから、俺に気を遣って、咎めはしないのだろう。その好意に甘え、煙りを見ながら、一生使えるようにと両親に入学祝いとして貰ったシルバーの時計を外した。ズボンのポケットに突っ込み、ただ、ぼうっと窓の外を眺める。



保健室はいい。
時間も世俗も忘れて、彼女の、葵のことだけを考えていられるから。


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