昨日「テニスがうまくなりたい」、と率直にブン太くんにメールで相談すると、「協力してやるよ\(^O^)/てなわけで明日全国大会に集合〜!差し入れ持って午後3時な!」と返事が来た。…差し入れ目的だ絶対!それに3時って…試合見れるの?よくわからないけど、とにかく協力はしてくれるらしいから、全国大会がある今日、私ははるばるここまで来た。






広い…!会えるかな、と、ラケットバックを背負い、お菓子が入った袋を握りながらきょろきょろと辺りを見回す。







「あ!寿々、寿々!こっち!」



呼ばれたほうを向くと、そこには赤也がいた。ブン太くんからの繋がりで仲良くなったのだけど、人懐っこい笑顔が魅力のひとつである。(名前呼び捨てなのはブン太くんの影響だ)





「よかった〜!広くて迷うとこだった!」

「丸井先輩に迎え頼まれてさあ。なに、テニス上手くなりたいんだって?」

「うん」

「それでわざわざここまで?」

「それもあるし、テニス見たかったし!お母さんもホテルまで一緒だよ」

「へ〜ご苦労サマ」

「はいこれ差し入れ。」

「やった!」

「で、丸井先輩たちは?」

「あっち!…て、あ」

「え?」




切原が反応したほうを見れば、ぞろぞろとジャージの集団がいた。あのジャージ…どうも見たことがある、と記憶を巡らす。



「あ、四天宝寺」

「なに、知ってンの」

「うん、まあ」

「次の相手なんだよ」

「え!」





そ、それは複雑だ。財前くんはまだ出てないかもしれないけど、彼のチームだし…。えー、と俯いていると、ぐずぐずする私に痺れを切らし、赤也はラケットバックを奪い取り、手首を掴んで走った。あああああ早い!早い!っていうか、あのなかに財前くんいるんじゃないのかな、!


でも面倒くさがりだからなあ。とにかく私はスピードを緩めて欲しくて、何度も赤也を呼んだ。つ、つかれる…!




「あ。切原ー寿々ー!」

「ブ、ブン、太っ、くん」

「…顔やばいぞ」



誰のせいだ。








*









「おっ?あれ立海やろか?」

「あーそうやなあ」





先輩たちが見るテニスコートのほうには、立海のユニフォームを着たやつ×2となんや女?がいた。遠くてよう分からん。まあ関係あらへんなあとぼーっとしとると、なんや金色先輩と一氏先輩に絡まれる。キモイ。

「寿々!さっそく勝負だ!」

「えっ!教えてくれるだけでしょ?」

「ハーゲンダッツを賭けた勝負だ!」

「えー?!」






喧騒にまぎれて、微かにあいつの声が聞こえた気がした。振り返ると、それらしきひとはいなくて、…なんや俺、あほかいな。はあ、とため息を漏らして、ネタを始めた先輩らを睨む。






早く、彼女の声が聞きたい。本当は会いたいんだけど。