■ 僕らは鳥にはなれない

※転生パロ


 断崖絶壁から身を投げるのと、プラットフォームから飛び降りることは少し似ている。
 人々が犇めき合う早朝のプラットフォームの日常と死の縁で、伊作は大きく息を吸い込んだ。
 危険を知らせるように、鉄の塊が向こうで大きく鳴いている。
 人々のざわめきが酷く心地良い響きで伊作の鼓膜を震わせる。あの時は独りきりだったけれど、今は、違う。

ねえ、みていて。

 昔も今も、僕は痛みと快楽の狭間で命を賭す。

 耳をつんざくブレーキ音、悲鳴と悲鳴が織り成す合唱。


 投げ出した身は軽い。





2012/8/24

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