■ 微笑みは刃のように

「ねぇ、はやく吐いてもらえないですか?貴方に時間をかけていられるほど余裕はないんですけど…」
 こきりともかくりとも形容し難い音が鳴り、刹那悲鳴があがる。
「ぅぁああぁぁっ!!」
 終始笑顔を崩さない伊作の手には小さな針が握られている。

「針ってね、こんなに小さいものでも立派な拷問道具になるんですよ―?」

 全身を縄で雁字搦めにされた男は伊作が何を意図しているのかわからないようであったが兎に角今から拷問が行われるということだけは理解できたらしい、無駄であるというのに何度も体を捩りなんとか縄を解こうと苦心する。
「ばーか。はやく吐いちゃえって」
「くっ……」

「本当に馬鹿だねぇアンタ。忍び込んだ場所が災難だったかな」

 容赦ない仕打ちに男の精神力は徐々にすり減らされていく。
「わか…った!吐くからその手を止めてくれ……ッ!!」
「やだね。僕は潔く素直に吐かない奴が一番嫌いなんだ」

 耳をつんざく悲鳴、絶叫。

「きったない声。いっそその喉潰した方がましじゃない?オニーサン」


 その後も伊作の拷問は続き、ようやく気が済んだ頃には男の意識は既に朦朧としていた。

「なめてかかったのが運の尽きってね」

 男の身ぐるみを剥がし密書を奪うと情報を聞き終えた伊作はゆっくりと立ち上がって後方を振り向く。

「おわったよ―。適当に片付けといて」
「……相変わらず容赦ねぇな」
「やだなぁ、五体満足で死なせてあげるんだからまだ優しい方だよ―」

 顔に返り血の飛び散った伊作はそれを拭うこともせず、留三郎に微笑みかけた。



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結論:伊作は敵にまわしてはいけない。

伊作は六年の中ではきっと拷問担当ですよね。裏伊作は兎に角容赦ない。敵も助けちゃうあの優しい保健委員長の裏の顔っていうかもはやここまできたら二重人格ですね。


御題はDiscolo様より
2012/8/12 加筆修正


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