■ Off Limits!
部室に鍵がかかっている。
忘れ物を取りにわざわざ来たというのに部室の扉はかたく閉ざされているのだ。
しかし中の明かりはついているので誰かが中から鍵を閉めているというわけであって。
「日吉です。鍵を開けてほしいんですけど」
中まで聞こえるように大きめの声でノックする。
応答はない。
数分経っても鍵があく気配はない。もしかしたら最後に出た人が電気を消し忘れてしまったのかもしれない。
それであるならばこのままにして帰るわけにはいかない。鍵は榊監督が持っているはずだから今から借りてこよう。
そう思って日吉が職員室に向かおうとした刹那、突然部室の扉が開いた。
「ごめん日吉、ちょっと中で急いで片付けしとってな。忘れもんやろ?もうすぐで下校時刻やしはよ取って帰ってまい」
「あ……はい、」
日吉は忘れ物を急いで鞄の中にしまって忍足にぺこりと頭をさげる。
「それじゃあ、お先に失礼しますよ」
「気ぃつけて帰りや」
ぱたん、と扉を閉める。
中から安堵ともつかぬため息が二人分聞こえたけれど、気が付かなかったふりをして日吉はさっさと帰ることにした。
***
「あぶなかったなぁ景ちゃん」
「………っ、」
ワイシャツを一枚羽織っただけの跡部は体中白濁で濡れていた。
唇についたそれを拭って、跡部が忍足を睨みあげる。
「だから部室でヤんのは嫌いなんだよ」
「スリルあって俺は好きやで?」
「一回死んでこい、おまえ」
倦怠感にまみれてもはや立つのも面倒だ。
「もう一回ぐらいやっちゃう?」
「……好きにしろ」
Off Limits!
(立入禁止!)
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2012/4/11
御題は空橙様より
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