■ 痛みも愛にすり替わる

 精一杯優しくしたいのに、どうしても傷付けてしまう。
 縛りつけたいという欲求が人一倍強いせいで少しでも抵抗をされると無意識下に手を出してしまうのだ。

 赤く腫れた日吉の頬をさすりながら赤也は慌てて日吉を抱き締める。

「ごめん日吉……っ俺、また……」
「平気だから、気にしなくてもいい」
「で、も……」

 表情を曇らせる赤也の顔をぐい、と引き寄せて日吉は自ら唇を重ねる。

「俺は切原のそういう所も含めて、好きだから」
「――…そんなこと言うの、反則だろ…ッ!」
「え、ちょ、切原!?」

 そのまま床に押し倒された日吉は最初こそ戸惑っていたが唇を交える内に体から力が抜けて、甘えるみたいに赤也の首に自ら腕を絡めた。



(痛みも愛にすり替わる)


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2012/4/10



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