■ 甘くとろけて紡ぐ

 俗にニーハイと呼ばれる代物を跡部がはいていたものだから、忍足は驚いて思わず肩にかけていた鞄を落としかけたのをすんでのところでキャッチした。
 校則にとやかく煩い跡部も割とスカート丈は短い。といっても周りと比べればまだ長い方かもしれないのだが。ぱっと見の感じからすると大体膝上七センチといったところだろう。
「どうしたん景ちゃん、そんな女の子らしいのはいて」
 膝をすっぽりと覆い隠した黒ニーハイとスカートの間のいわゆる絶対領域に視線を注ぎながら忍足が言う。
 跡部はその視線に気付いているはずであるのにも関わらず珍しく何も言わなかった。
「なに、誘ってんの?」
「おまえこういうの好きだろ?」
 ようわかってるやん、と言いつつ忍足がするりと跡部の太股に指を這わす。
「どうだ忍足、俺様はなんでも着こなしてみせるんだよ」
 スカートの裾を爪先でひらりと捲る跡部の視線から完全に挑む姿勢を察した忍足は受けてたってやるとばかりに跡部の唇を塞いだ。リップクリームのった唇は驚くほどに柔らかくて、癖になる感触。ついばむようなキスを降らせて忍足はわずかに息のあがった跡部の顔を覗き込んだ。
「なんかあったん?」
 いつもより低めに出した声に跡部の表情がわずかに歪んだ。忍足がそれを見逃すはずもなく、もう一度耳元でなんかあったんなら話して、と囁くように言ったらあっさりと跡部が崩れた。
「……おまえが他のやつとばっか話すからだろ…!」
「……はい?」
「おまえが他の女と話すからいけねぇんだよ。他のやつとばっか楽しそうに話すからッ……」
「えーっと、つまりは嫉妬したってこと?」
「俺が女らしいことしねぇから、他のやつにとられちまうかもしれねぇって思って。だから…っ」
 顔を真っ赤にして俯く跡部の頭をそっと撫でて、縋るようにのばされた腕ごと抱き締めた。
「ごめんな景ちゃん、俺景ちゃんの気持ち全然考えてへんかった」

 俯いたままあげようとしない顔を優しく両手で包んで、忍足の方を向かせる。
 涙の滲んだ瞼に思わず息をのんだ。それほどまでに綺麗だと感じた。
 忍足の意を汲んだ跡部が目を閉じると、甘いキスが触れる。

「俺のいちばんは景ちゃんやで」
「……わかってる」


 その後も誰もいない教室で気のがすむまで唇を重ねた。



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遅くなってしまって申し訳ないです!
momo様リク、忍にょた跡とのことでしたが、にょたを生かしきれず不完全燃焼感がいなめませんo..rz
忍足が他の女の子と話しているだけでやきもきしてる跡部とか想像するだけで可愛いですね!

それではmomo様、リクエストありがとうございました!


2012/3/29
御題はHENCE様より


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