■ 貴方は僕の存在理由

※跡部が主人で執事が忍足


「景吾坊ちゃん、朝ですよ―っと」
 勢い良く明けられたカーテンの向こうから、眩しすぎる朝日が容赦なく部屋に差し込む。
「……っ…!」
 そんな忍足を無視して跡部は二度寝を決め込もうと掛け布団に手を伸ばすが、すんでのところで忍足に奪われる。
「とんな!」
「これ以上寝てたら遅刻しますって」
 掛け布団を奪われてもなお抵抗を続ける跡部のパジャマを忍足は溜め息混じりに脱がしにかかる。
「馬鹿それぐらい自分で…っ…!」
 ばたばたと手足をばたつかせる跡部を押さえつけ忍足は跡部の着替えを手際良く済ませていく。
「俺の話聞け!」
「これが俺の仕事なんですから、景吾坊ちゃんは大人しゅうしとってください」
 それでも跡部は負けてたまるかと足を振り上げる。
「いい加減にせんと、ちゅうしますよ?」
「出来ねぇくせにそんなこと…っ…て、」
 急に忍足の腕が跡部を捕らえて、顎に指が触れたかと思えば唇の感触が伝わってきて。
「――……!?」
 あまりの衝撃に硬直する跡部をいいことに忍足はあっというまに跡部の身支度を整えてしまう。
「朝食はフレンチトーストとジャスミンティーですよ、坊ちゃん」
 硬直が溶けた後に顔を耳まで真っ赤にした跡部は怒鳴りつけることもままならず口がはくはくと金魚のように開閉している。
「なんやったらもう一回しましょか?」
「……したら殺す!」

 部屋を飛び出すように出て行った跡部の背後で、忍足は意味深に笑みを浮かべる。





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跡部12歳、忍足が24歳ぐらいが理想です。


2012/3/11
御題は邂逅と輪廻様より


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