■ 滴る青に溺れて
青い絵の具をぶちまけたような真っ青な空が偉そうに見下ろしてくる。それがなんだか気に食わなくて、跡部は小さく舌打ちをもらした。
「ここまで天気がいいと逆に腹が立つぜ」
容赦なく照りつける日差しにうんざりしながら後輩達に休憩の合図を出す。
「しっかり水分補給しろよ、いいな?」
跡部はそれだけを伝えると、コート脇のベンチに向かってすたすたと歩いていく。
「なにさぼってやがるんだてめぇ!」
ラケットの縁でベンチに寝そべっている忍足を叩けば僅かに呻き声があがる。
「うそん、見つかってもうた感じ?」
「この野郎、あんましさぼってっとレギュラーから外されるぞ?」
「あ―それはないわ。俺、強いから」
自惚れんじゃねぇよ、と容赦なく蹴りをいれればギブギブ、と忍足が両手をあげて降伏の意志を示した。
「調子のってっと本気で処分するからな、」
「景ちゃんは恋人に対してもきっついなぁ―」
「だからだよ。俺だっておまえと練習やりてえのになかなか来ねぇからわざわざ呼びにきてやったんだろうが」
ほんの少し眉間に皺を寄せた跡部は不満そうに口を尖らせる。
「素直に最初からそう言えばええのに」
「……調子に乗るのが目に見えてるから嫌なんだよ」
汗を拭いながら、起き上がる忍足に唇を押し付けた。
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2012/3/17
御題はポケットに拳銃様より
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