■ 彼の少しズレた恋愛論
「忍足さんと付き合ってるって本当なんですか」
急に何を言い出すかと思えば。
真剣な顔でそんなことを言ってきた日吉を跡部は鼻で笑ってみせた。
「誰にんなこと吹き込まれたんだ?何で俺様が忍足と付き合わなきゃいけねぇんだよ」
「でも跡部さん、部室で…その……」
「何だよ、勿体ぶるな」
日吉は躊躇いがちに顔を俯かせると、聞こえるか聞こえないかの瀬戸際の声量で小さく呟くように言い放った。
「跡部さん、忍足さんとキスしてたじゃないですか……!!」
「……だから何だよ」
虚を突かれた、という顔で日吉は跡部を見つめる。
「……は?」
「キスしてるイコール付き合ってるっていう等式がわけわからねぇって言ってんだよ」
日吉は目を点にして、平然とそう言ってのける跡部をさらに凝視する。
「じゃあ跡部さんは好きでもない人とキスするっていうんですか?」
「別に、キスしたいって言ってきたからやっただけだ」
余りの衝撃的事実に日吉は口をはくはくと開閉させる。
「ぜ、絶対、おかしいですよ。そんなの」
それだけ言って立ち去る日吉の背中を跡部は相変わらず訳が分からないといった風に見送った。
end.
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日吉くんのキャラが掴み切れません。
2012/2/18
御題はAコース様より
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