■ WITH CARE.
鳩尾にくらった回し蹴りが思いの外忍足の体に強い衝撃を与える。
目覚まし代わりの激痛は頭のてっぺんから足の先まであますことなく伝わって忍足の頭を一気に覚醒させた。
「いったぁ!!」
「……朝からうるせぇな…、…」
こんな大声を出す原因を作った張本人が腕の中でもぞりと動く。
お互い衣服を身につけておらず、薄っぺらいシーツが一枚、心許なくかけてあるだけだ。
「目開けた瞬間におまえの顔が見えたら誰でも蹴りをいれるに決まってんだろ」
そな非道い話あるか、と忍足は不満をもらしそうになったが残念ながら忍足が男役とはいえ跡部の絶対王政は揺るがない。跡部のいうこと、やることがすべて正しくて、それにただ黙って従うというシステム。世間がそれを我が儘と呼ぶのをヤツは知っているのだろうか。
「ほんま足癖悪いんやから困ったもんやわ」
浅く溜め息を吐いて跡部の足を押さえつけると太股の付け根に吸い痕をつける。
「馬ッ鹿痕つけんなって……!」
「誰もこんなトコみぃひんよ」
「そういう問題じゃ…」
それ以上は言わせない、とばかりに忍足は唇を押し付ける。
「今日は俺、謀反犯やから」
「はぁ?」
偶には逆らってみんのも悪くあらへんな、と一人ごちて忍足はもう一度深く、熱いキスで跡部を深淵へと堕としていった。
WITH CARE.
( 取り扱注意 )
end.
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忍足が主導権を握るとたちまちカオスになります。
2012/2/13
御題は空橙様より
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