■ とりあえず黙りましょうか跡部さん
「あかんわ、もう限界や俺」
跡部の台詞を遮りつつ忍足は両手をあげて負けや負け、と独り言のように呟いた。
「何が限界だ?まだ俺の話は終わってねぇ」
「知っとるわあほ」
毎日毎日飽きもせず自慢話ばかりしよって。ええ加減堪忍袋の緒がきれました―って。どこぞのプリキュアみたいな台詞を吐きながら忍足は耳を両手で塞いだ。
「人の話ぐらい最後まで聞け」
「毎日毎日きいたってるやろ。偶には俺の話も聞いてくれんと」
「……じゃあ話せよ」
えらく跡部が素直に言うことをきくので、忍足は正直拍子抜けする。
きっとうるせぇなんでてめぇに指図されなきゃいけねぇんだ云々と反撃を食らうと思っていたのに、むしろ反撃があることを前提に回し蹴りを防ぐ準備までしていたのに。
「え―っと、あれやあれ。……堪忍、ど忘れしてもうた」
正直にいうと、話すことなんて何も考えていなかった。
「思い出したらいえ。この跡部様が直々にきいてやるよ」
「まあ思い出したら、な」
思い出すもなにも、最初からないなんて口が裂けてもいえない。
個人的見解としては跡部は非常にプライドが高く(わざわざ言わなくても周知の事実であるのは重々承知している)しかし同時に寂しい奴でもある。(この事実に関しては本人は頑として認めない)
育ちの良さ、プライドの高さゆえに周りから孤立してきたのはわかるがこんな性格になったのはまた別の要因が絡んでいるのだろうか。まあそんな詮索をしたところで忍足には知る由もないのだが、結果的にああなってしまったのだからここは結果論で論じるしかないのだろう。
出会った当初は寂しがり屋の跡部のお守り役なんて、と思っていたのは事実であるがいざ関わってみるとなかなかいい味をしている奴だったから益々離れがたくなった。ここは計算外。
時折見せる跡部らしからぬ反応なんて日頃から見ていなければわからないことではあるし。
「好きやいうてもおまえはわからんのやろうな、」
「あ?なにさっきから意味わかんねぇこといってんだよ」
そうやんな、と忍足は跡部の頭を撫でると、意味もなく笑んでみせた。
訝しげに見上げてくる瞳の奥が物語る感情を探しながら。
end.
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最終的によくわからない話にするのが得意です(`・ω・´)キリッ
もう少し中身のある話が書きたい……
忍→→→跡ぐらいが丁度いいと思います。
2012/2/7
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