■ 誰よりも気になる存在

※真田不在


真田が好きすぎてどうにかなってしまいそうだ、と。おもむろに幸村が呟いた。

隣にいた蓮二がやっと聞き取れたほどの声の大きさであったことから、本人もまさか聞かれているなんて思っていないのだろう。
何事もなかったかのように幸村は平然と着替えを済ませ、じゃ、と言ってさっさと部室を出ていこうとする。

「あ、そうだ蓮二」

ふいに思い出したとばかりに幸村がそうだ、と手を打つ。

「弦一郎ならまだコートにいたが?」
「……なんで俺が今から蓮二に真田の居場所を聞こうとしてたのがわかったの?」

やっぱり蓮二はエスパーだったんだ!と幸村がずびしと指をさしてくるが蓮二は華麗にスルーをきめる。
エスパーも何も、ついさっき幸村自身が真田の名前を口にしたのだから普通に考えてそう解釈するのが自然だと思っただけだ。
言うまでもないが蓮二はエスパーでもサイコでもない。人よりほんの少し洞察力諸々が鋭いだけである。

「今俺がなに考えてるかわかったりする?」
「弦一郎のことだろう?」
「……せ―かい」





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2012/5/11
御題はポケットに拳銃様より

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