■ 「俺を練習台にするな」
※真幸、柳赤柳前提
ちぅ、と唇を軽く吸われて、一瞬反応が遅れた柳は呆れた顔で幸村を見つめる。
「普段からこんなことばかりしているとしまいには弦一郎にばれてしまうぞ」
「蓮二は俺の良き練習相手だからね」
キスに練習も何もあるか。キスというのは好いている者同士が行うものであって友人間でするものではけしてないのだ。それにも関わらず幸村という男は恋人である真田を差し置いて柳と平気でキスをする。
「いつか罰が当たる、」
「少しぐらいヤキモチ妬いてくれた方が俺は嬉しいんだけどね」
いよいよ柳は呆れ果てて、もうかける言葉もなくなる。一応柳にも赤也という恋人がいるのだからそこへの配慮も少しはしてほしいものだ。鈍感野郎の真田とは違って赤也は些細なことでもすぐに嫉妬して拗ねてしまう。そこがまた可愛いのだが幸村とキスしている現場を見られてしまえば後々の処理が非常に面倒であるしそんなことは火を見るよりも明らかだった。
「ねぇ蓮二、もう一回していい?」
「俺を練習台にするな」
「ふふ……満更でもないくせに」
「精市、いい加減に……」
幸村が柳の言うことを聞き入れるはずもなく。結局柳の意見が受け入れられることはなくそのまま唇を塞がれる。
「情愛のキスだっていいんじゃないの?」
「外国でもあるまいし、ここは日本だ」
「部室内は治外法権だよ」
「またそんな無茶苦茶な……」
幸村はこりることなく再度唇を重ねてきて、渋々と柳がそれに答えれば幸村は満足げに笑みを深める。
「心配しないで、俺の本命は真田だからさ」
end.
2013/5/22
御題:TOY
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