■ 綺麗に汚れていくばかり
部屋に入るなり赤也が思い切り抱きついてきた。何事かと思い顔を覗き込もうとすれば赤也は左右に頭をふって、柳はわけがわらないまま暫くの間赤也に抱き付かれたままじっとしていた。
「おれ……白石さんに告白されて……キス、されて……」
ぼろぼろと目から大粒の涙を流しながら、赤也がぽつりぽつりとこぼした。柳は黙ったまま赤也を抱き締め、言葉の続きを待った。
「柳先輩のこと裏切るつもりなんてないし俺は柳先輩が好きで仕方ないしこれからもそれはかわらないし…ッだから俺どうしたらいいかわかんなくて…―ッ」
柳は涙でぐちゃぐちゃになった赤也の頬を拭うと、目元にキスを落とす。
「どこにキスされたんだ?」
「……くち、に」
「そうか……ならば俺が消毒してやろう」
柳が赤也の唇をぺろりと舌先でなめれば赤也の肩がびくんと震えた。
「……こわいか?」
赤也は首をぶんぶんと横にふり、柳は赤也少し口を開くように言う。
「ん、…ンッ」
ぴちゃぴちゃとわざと水音が聞こえるように口内を舌で掻き回せば、赤也は頬を赤らめながらもそれにこたえた。
無意識に逃げようとする腰をがっちりと押さえ込み、生理的に潤む涙を舌ですくい上げる。
「おまえが好きなのは誰だ?」
「……やなぎせんぱいっス」
「……いい子」
涙でぐちゃぐちゃの赤也の顔にたくさんのキスを降らして、何度も何度も愛を囁いた。
他の男の元へなどいかせはしない。赤也は既に柳のものなのだから。
end.
2013/3/10
御題:Discolo
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