■ 目眩のような純情
※白石が気持ち悪いです。
「せんぱい、そのビンって中になにがはいってるんすか?」
「ん?あぁ…コレのこと?」
最近知ったのだが、白石はいつもポケットの中に小さなビンを忍ばせている。しかし赤也が何度聞いてもその中身について白石は教えてくれないのだ。
「コレの中身はヒミツや」
「え―っ!なんで教えてくれないんすか?!」
片側の頬を膨らませながら赤也が不満の声をあげるがビンを手のひらの上で弄ぶ白石に依然教えてくれる気配はなかった。
「これはなぁ…俺のお守りみたいなもんやから、赤也クンだってお守りの中身あけたりせえへんやろ?」
「そうっすけど……」
「まあもう少し赤也クンがおっきくなったら教えたるわ」
「ほんとっすか!?ぜったい約束ですよ!」
途端に目を輝かせる赤也の頭をくしゃりと撫でながら、白石は苦笑する。
「……結局、そのビンの中身はなんなんだ?」
一連のやりとりを聞いていたらしい柳が白石にそう言うと、白石は少しの間迷った後にそっと教えてくれた。
「精液」
「は?」
「…俺の精液はいってんねん、コレ」
予想斜め上の答えに柳は絶句し、改めて白石が手にしているビンに視線を移した。
「この様な質問をするのは野暮だと承知しているが……何故?」
「赤也クンってあぶなっかしいやろ?たぶん無意識やろうけど四六時中俺のこと煽ってくんねん……だから、性欲抑えるためにコレをお守りにしてんねん」
何がどうお守りになるのかはよく理解できないが何故白石がかたくなに中身の正体を言わないのかはよくわかった。
「それの中身については俺が赤也に言いくるめといてやろう」
「別にかくさんでかまわへんよ?その内いうつもりやし」
「……今の赤也には少々刺激が強すぎる」
ほんの少し…いや、正直にいうとかなり赤也の将来が心配になった柳なのであった。
end.
2013/1/31
御題:hmr様
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