■ とびきりのを君に

「クリスマスか―…」
「なんブンちゃん、クリスマス嫌いなん?」
「いや嫌いなわけじゃね―けど…」

 じゃあなに?と仁王が問えばブン太はだってよ―と言葉を濁した。

「体重……ふえるだろぃ」
「体重?」
「そ。クリスマスパーティーとかでケーキとかうまいもんとかいっぱい食うだろ?」
「まあただでさえブンちゃん肥満気味じゃしの―…」
「うっさい」
「まぁ食べた分運動したらいいんじゃろ」
 そう言って仁王はブン太の腰を引き寄せ、するりと指先でなで上げる。
「……サンタの前で破廉恥なことできねぇし」
「そんなつれんこといわんで」
「俺は弟たちのためにいろいろやらなきゃいけないことがたくさんあるんだよ」
 チビたちにとったら俺がサンタなんだからよ、とブン太は少し得意そうに腕組みをしてみせた。
「じゃあ俺がブンちゃんのサンタになってやるき」
「え、欲しいものでもくれんの?」
「もちろん、な―んでもプレゼントするき」

 ブン太はしばらく悩む素振りを見せて、ふと思い付いたように顔を輝かせた。

「じゃあキスしろぃ」
「キス?」
「クリスマスプレゼントは、仁王のキスがいい」
「ブンちゃんそんだけでいいん?」
「俺はそれで十分なの!」

 ほらはやく、とブン太が目を閉じる。

「ハッピーメリークリスマスじゃ」


 とっておきのプレゼントを、君の唇に。



end.
2012/12/24(12/25)
御題は自作



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