■ あなたのための
を迎える

「なぁ参謀」
「なんだ?」
「今年のクリスマスプレゼント、参謀はなにたのんだんじゃ?」
「俺は今年は少々値の張る参考書を頼んだ」

 まさか柳からまともな返答が返ってくるとは思っていなかった仁王は意外そうに目を丸くした。
「参謀はサンタしんじとんの?」
「俺の家では中学生まではサンタがくるというシステムになっている」
「信じてはないん?」
「小学生の半ばですでにサンタの真相については知っていたな、大して衝撃はなかったが……大体の想像はついていたし」
「俺はの、最初っから信じとらんかった」
「……何故?」
「なんでじゃろうな」

 その時柳には仁王の目がわずかに揺らいだように見えた。多分、仁王は人を信じることが出来なかったのだ。幼い頃から常に他人に対して疑心を抱きながら生きてきたのだろう、と。
「昔っから夢のないやつじゃって呆れられとった」
「別に、信じる信じないは個人の勝手だと思うがな」

 クリスマスの朝、いつもより少しはやめに起きてリビングにおりるあの瞬間の気持ちがとても好きだったという記憶が柳にはある。
 クリスマスはサンタが自分が欲しかったものを届けてくれる、素敵な日。
「なんなら俺がサンタになってやろうか?」
「……参謀が?」
「おまえの欲しいものなんて言われなくてもわかっているからな」
「……絶対じゃよ?」
「勿論」




 そうしてクリスマスの朝がきて、目が覚めたらプレゼントと目が合うのだ。



「メリークリスマス、雅治」



end.
2012/12/25(12/20)
御題はhmr様より



[ prev / next ]

134/303
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -