■ ひとつ知るたび
きになってく

「おいで赤也クン、」
 特徴的なくせっ毛が目の前で身じろぐたびにふわふわと揺れる。その様子が酷く愛らしくて、白石は思わず笑みをこぼした。
「なんですか白石さん!」
「なぁ、ちゅ―しよか」
 白石がそう言った途端に赤也の動きがぴたりと止まる。どうやら言葉の意味を上手く咀嚼できていないらしい。
「ちゅ―って、くちとくちを合わせてやるやつですよね?」
「そやけど?」
「し、しらいしさんとおれがちゅ―するんですか?!」
「赤也クンは俺とすんのイヤ?」
「べっべつにイヤってわけじゃないっすけど…っ!」
「恥ずかしいんやったら目つむったらええやろ?」
 片手で赤也の目を隠しながら白石は微笑む。
「し、白石さんも目とじてください!」
 顔みられんのはずかしいし、と赤也は顔を耳まで真っ赤にしながら白石に訴える。
「わかったわかった。目閉じるから、赤也クンも閉じて?」
 素直に目を閉じてこちらに唇を向ける赤也に閉じていた目をあけながら白石は再度微笑む。赤也は今白石も目を閉じていると思い込んでいるのだろう。

「赤也クン、ほんまかわいいわ」

 触れるだけのキスをおとして、白石は赤也をぎゅう、と抱き締めた。



end.
2012/12/15
御題はhmr様より



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