■ 必然的運命

「ジャッカル―おなかすいた―」
「さっき昼飯食べたばっかだろ…非常食はねぇのかよ?」
「ない」
 そんなことを言ったってジャッカルも今は何も持ち合わせていない。ポケットに手をつっこんで探るがめぼしい物は何一つ入っていなかった。
「購買でなんか買ってこいよ」
「チョコパンがいい」
「……俺が買うのか?」
「ダメ?」
 ブン太が上目遣いにこちらを見てくるものだからジャッカルは思わずときめいてしまった。
「あ―もう!しょうがねぇな!」
 パン代は請求するからな!と言ってジャッカルは購買に向かって歩き出す。
 つくづく自分はブン太に甘いな、とジャッカルは内心で思う。それでもついつい我が儘やら横暴やらを受け入れてしまうのはやはり友人だからという理由ひとつでは少々事足りないのだろう。
「ほらよ、120円」
 ブン太はポケットから小銭を出すとそれをジャッカルに渡した。
「ありがと」
 ふにゃりと微笑まれて、ジャッカルは思わずどきりとしてしまう。笑った時のブン太は本当に可愛い。ブン太の我が儘ならなんでもきいてやりたいと思うし、なんだかんだで頼ってくれるのも嬉しい。一緒にいるという口実を作りたいがためにどこまでもブン太を甘やかして、果てには柳にまで注意されてしまう始末。端から見ていてもやはりジャッカルはブン太を甘やかしすぎなのだ。

「俺、将来ぜってぇジャッカルのお嫁さんになる」

 冗談とわかっていても嬉しくなってしまうのは、やはりひた隠しにした恋情のせいなのだろう。



end.
2012/12/12
御題はたとえば僕が様より



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