■ 恋情よ、さあ墜ちていけ
「つかれた」
「そりゃあ映画見て買い物して食べ歩きしたら疲れて当然じゃ」
「だって仁王と二人で出掛けたの久し振りだったし」
仁王のベッドに仰向けにごろりと寝転びながらブン太は自身の体の披露を癒すようにぐっと背伸びをする。
「こら、女の子が足開くのははしたないき」
「ど―せ俺のパンツ見て興奮する変態なんておまえぐらいしかいね―よ」
「なん、それ誘ってるん?」
「さぁな」
仰向けの体勢から右へ左へとごろごろするブン太のスカートが動く度にのぞく太股に無意識に視線がいってしまうがそれは男の悲しい性というものであって。
「そこ、俺のベッドなんじゃが」
「別にいいだろ―ベッド占領するぐらい」
「いや、そうじゃのうて」
昨日は今日のデートが楽しみすぎてついついベッドの上でヌいてしまったのだ。そして興奮のあまり白濁をシーツに飛ばしてしまったのだが……その場所が丁度今ブン太がごろごろしている所なのだ。
「なんだよ、もしかしてエロ本でも隠してあんのか?」
「ベッドの下なんて安易なとこに俺が隠すわけないじゃろ」
正直本当の理由を言うわけにもいかない。後ろめたい気持ちを押し殺してここはスルーするのが得策か。
ブン太の無駄に鋭い勘が働いたのは上手い具合に思考がまとまったかと思われた、そんな時だった。
「おまえベッドの上でなんかこぼしただろぃ。ここ、シミになってるし」
ブン太がつんつんと指先でつついたのは紛れもない、昨夜の残骸だ。
「すぐにふかねぇとあとのこっちまうんだぞ―」
「……あ―…今度から気をつけるき」
仁王は視線を泳がせながらなんとかブン太をベッドからのかせることが出来ないかと思案を巡らす。
そんな間にもどうしてもシミが気になるのかブン太は思い出したようにシミをつついてはかりかりと爪を立てた。
「一体なにこぼしたらこんなシミつくんだよ……まるでせい…」
そこでまた無駄に勘の鋭いブン太は気付いてしまったらしい。
「まっまさかおまえこれって……」
「そうじゃよ……それ、俺の精液じゃき」
仁王は深々と溜め息を吐き出しながら気まずそうにそう零した。
「…、……ッ!?」
ブン太はしきりに目を白黒させて、仁王とシーツを交互に見やる。
あまりにブン太が可愛い反応をみせるものだからとうとう仁王は耐えきれなくなって、勢いに任せそのままブン太をベッドに押し倒した。
「本物みたいき?」
「けっ結構です!」
「遠慮せんでええよ」
仁王はベルトを弛めてズボンをさげるとトランクスの上へとブン太の手のひらを導く。
「ブンちゃんのせいで俺の、こんなんなっとるんやけど」
ぱくぱくと口を開閉させるブン太は顔を真っ赤にして首を左右にふるふると横にふる。
「上からでええから、さわってくれん?」
「う、」
「それ以上はなんもせんから、……おねがい」
耳元でそう囁けばブン太は躊躇いがちにこくんと頷く。
「やり方、わかんない」
「ここをな、両手でこすって」
「こう?」
「もうちょっと力いれて」
「ん」
先ほどよりも硬さを増したそれにブン太は戸惑い気味に小首を傾げる。
「きもちいい?」
「……気持ちいいにきまっとるじゃろ…!」
そのままブン太の柔らかい唇に口付けをおとして、仁王はブン太を跨ぐ体勢で上から覆い被さる。
「お礼にブンちゃんのことも気持ちようしちゃるから、覚悟しんしゃい」
そのまま一気に身ぐるみをはがして、仁王はにんまりと笑った。
end.
なごみ様リク、甘甘微裏/デート後の仁王くんの部屋でということでしたがなんだか中途半端な甘さになってしまいました…
本作では純粋なブン太を目指してみました。お楽しみいただけたならば幸いです…
それではなごみ様、リクエストありがとうございました!
2012/11/19
御題はilta様より
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