■ 夢の続き
夢を見た。
今思えばそれはとても現実味がある夢で、目を覚ましてからやっとああ、あれは夢だったのか、とほんの少し安堵するような。
それは楽しい夢であったり、悲しい夢であったり、時には思い出したくもないような悲惨なものまで。
そんな夢も夢という定義をしてしまえばそれまでで、それから先に恐怖を抱くことも期待をすることもない。
昔――まだ小学校にあがる前はよくこわい夢を見れば夢の続きがこわいといってしばらく眠れなくなったものだ。
人によっては夢の続きを見ることもあるそうだが幸村にはそのような経験は一度もなかった。一度ぐらい経験してみたい現象ではあったが何をどうやって見れる、なんて類のものではないしそこまでして見たいというわけでもなかった。
どんな悪夢でも一晩で終焉を迎える。それがわかっているだけで十分なのだ。
「交通事故に遭ったらしい」
誰が、なんて野暮なことは聞けなかった。それが今この場にいない人間を指していることは明白だった。
真田がいない。真田が、交通事故?
「今は意識不明の重体だそうだ」
ああ、嫌な夢だと思った。真田が死んでしまう夢なんてとんだ悪夢だ。はやく覚めてくれないだろうか、真田が死ぬわけなんてないのに。
そういえば、昨日は真田が事故に遭う夢を見た。一昨日は真田が交差点にたっている夢。
end.
2012/11/10
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