■ 致死量を超えた愛の言葉

 好きだって何回言っても幸村のこの思いは伝わりきらない。
 きっとあっというまに真田のキャパをこえて溢れ出してしまう。真田は一途な馬鹿だから、あんまり困らせてしまうのはいけない。
 だから幸村は制限をつけた。一日に好きって言ってもいいのは三回まで。いつしか幸村の中ではそんなルールができていて。

「幸村、」
「なに、真田」
「その……もしかして、俺のことを嫌いになったのか?」
「……なにをどう結論付けたらそうなったわけ?」

 うつむき加減な真田は幸村と目を合わせないままに言った。

「好きだと言ってくれないではないか」

 幸村は目をぱちくりと開いて、もう二三度目を瞬かせる。

「たりないの?」
「ああ、たりない」
「わがままだね」
「そうかもしれない」

 本当にわがままなのは幸村自身であると、そんなことは言われなくてもわかっている。

「すき」
「すきだよ、真田」

 だからずっと一緒にいたい、だから何度も愛の言葉を囁こう。
 甘い言葉の中に光るわずかな寂しさだって、君は気付いてくれるはずだから。



end.
2012/10/20
御題は邂逅と輪廻様より



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