■ 13人目の恋人

 あまり表沙汰になっていないが、幸村の女癖は悪い。学年を問わず告白をされる度に首を縦にふってあきたらすぐに棄ててしまう。酷いときは三日で別れた。長くて一カ月。それ以上はいまだにない。

「告白されたからといって、そのように容易く返事をしてもいいのか?またすぐにあきて別れてしまうんだろう」
「真田には関係ないでしょ。誰と恋愛しようと俺の勝手なんだから」
「……部活に支障がでない程度にな」

 真田はくしゃりと幸村の頭をなでて、そのまま行ってしまう。
 俺が好きなのは俺の上っ面しか見ていない薄っぺらな女の子じゃなくて、おまえだよ真田。なんで気付いてくれないの?
 背中に語りかけども、言葉にはならない。ほんのひとつ溜め息がもれただけ。
 気を紛らわせようと女の子をとっかえひっかえしているけれど、ますますむなしくなるばかりだ。



「真田は彼女ほしいとか思わないの?」
「俺はそのような恋愛云々には縁がないからな、ほしいとかほしくないとか、それ以前の問題だ」
「ふ―ん」

 このまま真田にキスしたら真田はびっくりするだろうか。こんな浅ましい感情を抱いた俺に幻滅するだろうか。
 何度目かわからない溜め息を幸村がはいた時だ、真田は何を思ったのかぐい、と腕を引き寄せてきた。

「?」
「確かおまえの今の彼女は十三人目だったな」
「いちいち人数なんておぼえてないよ」
「俺は数えていた、ずっと」

 真田が一体何をしたいのか、幸村は首をかしげる。

「その……十四人目なんて作らずに、俺の一人目の恋人にならないか?」
「おれが、さなだのこいびと?」
「……そうだ」

 夢の中にいるみたいに思考がふわふわと宙を浮遊している。
 これは俗にいう告白というやつだろうか?


「そんなの、断るわけないだろ」

 俺だってずっとおまえのことが好きで、好きすぎてどうにかなりそうだったんだから。

「俺だって好きだよ、バカ」



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2012/9/21
御題は邂逅と輪廻様より


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